「転職で年収100万円アップの内定をもらったけど、マイホーム購入が遠のくのでは?」「妻から『子どもが小学校に上がる前に家が欲しい』と言われているのに、転職すると住宅ローンが組めなくなる?」──そんな不安を抱えていませんか?
30代は、キャリアアップのチャンスと、マイホーム購入の最適なタイミングが重なる時期です。しかし、転職と住宅ローンは密接に関係しており、どちらを優先すべきか、あるいは両立できるのか、判断に迷う方が少なくありません。
住宅金融支援機構の「2024年度フラット35利用者調査」によると、フラット35利用者の平均年齢は44.5歳。30代でマイホームを購入する人は決して少なくありませんが、同時に転職も考えるとなると、慎重な計画が必要です。
実は、転職直後でも住宅ローン審査に通る方法は存在します。ただし、そのためには「正しい知識」と「戦略的なスケジュール」が不可欠なのです。
この記事を読むことで、あなたは以下を得られます:
- 転職が住宅ローン審査に与える具体的な影響と、金融機関が重視する審査項目
- 転職前と転職後、どちらで住宅ローンを組むべきかの判断基準
- 転職直後でも審査に通る3つの条件と、具体的な金融機関の選び方
- 内定承諾から入社までの1ヶ月でできる実務的な対策
- 家族を納得させ、転職とマイホーム購入を両立させるロードマップ
「転職もマイホームも、どちらも諦めたくない」──そう思っているあなたのために、この記事では実際のデータと成功事例をもとに、具体的な行動計画を提示します。
30代転職と住宅ローン審査の関係を正しく理解する
転職が住宅ローン審査に与える具体的な影響とは
「転職すると住宅ローンが組めなくなる」という話を聞いたことがある方は多いでしょう。しかし、これは半分正しく、半分は誤解です。正確には、転職直後は住宅ローン審査が「通りにくくなる」のであって、「絶対に組めない」わけではありません。
金融機関が住宅ローン審査で最も重視するのは、「借入者が長期にわたって安定して返済できるか」という点です。転職は、この「安定性」に疑問符をつけるイベントとして捉えられます。
国土交通省の「令和6年度 民間住宅ローンの実態に関する調査」によると、93.2%の金融機関が「勤続年数」を審査項目として重視しています。つまり、ほぼすべての金融機関が、あなたが今の会社でどれだけ働いているかをチェックしているのです。
対象:974金融機関(2024年度調査)
出典:国土交通省「令和6年度 民間住宅ローンの実態に関する調査」
転職すると、この「勤続年数」がリセットされるため、「収入が安定していない」と判断されやすくなるのです。
「勤続年数リセット」が意味する本当のリスク
転職による「勤続年数リセット」がなぜ問題になるのか、もう少し深く見ていきましょう。
金融機関は、勤続年数が短い人に対して、以下のようなリスクを懸念します:
- 収入の不安定性: 転職直後は試用期間中で、正式採用されるか不透明
- 昇給ペースの遅れ: 新しい会社では、昇給までに時間がかかる可能性がある
- 再転職のリスク: 転職回数が多い場合、「またすぐ辞めるのでは」と懸念される
- 業界・職種の変更: 異業種への転職は、収入が下がるリスクがあると見られる
特に、マイナビの中途採用状況調査(2025年版)では、採用担当者の77.6%が「転職回数を気にする」と回答しています。これは、金融機関の審査担当者も同様の視点を持っている可能性が高いことを示唆しています。
金融機関が最も重視する審査項目の優先順位
では、金融機関は住宅ローン審査で何を最も重視しているのでしょうか。国土交通省の調査によると、審査項目の上位は以下の通りです:
- 完済時年齢: 99.1%の金融機関が審査対象
- 健康状態: 98.5%
- 借入時年齢: 97.8%
- 年収: 95.7%
- 勤続年数: 93.2%
- 雇用形態: 92.4%
- 返済負担率: 89.6%
この順位を見ると、勤続年数は5番目に重要な項目であることがわかります。つまり、勤続年数が短くても、他の項目(年齢、健康状態、年収など)で高評価を得られれば、審査通過の可能性は十分にあるのです。
特に、30代の転職では「年収アップ」が伴うケースが多く、この場合は勤続年数の短さをカバーできる可能性があります。次のセクションでは、転職前と転職後、どちらで住宅ローンを組むべきかを具体的に検討していきます。
転職前と転職後、住宅ローンを組むならどちらが正解か
転職前に申し込むメリットとデメリットの全て
転職を控えている状況で、「今のうちに住宅ローンを組んでしまおう」と考える方は少なくありません。確かに、転職前であれば勤続年数が長く、審査で有利に働く可能性があります。
転職前に住宅ローンを組むメリット:
- 勤続年数が長い: 現職での勤続年数が3年、5年、10年といった長さであれば、審査で高評価
- 収入証明が容易: 直近1年分の源泉徴収票があり、収入を証明しやすい
- 審査通過率が高い: 転職後に比べて、審査に通る確率が高い
- 転職先でのスタートに集中: マイホーム購入を済ませておけば、転職後は仕事に集中できる
転職前に住宅ローンを組むデメリット:
- 転職後の収入が不透明: 転職で年収が下がる可能性があり、返済が苦しくなるリスク
- 現職の年収で審査される: 転職で年収が上がる予定でも、現職の年収が基準になるため、借入可能額が少なくなる
- 融資実行前の転職はNG: 事前審査を通過しても、本審査から融資実行までの間に転職すると、再審査や融資取り消しのリスクがある
- 勤務先変更の報告義務: 融資実行前に転職した場合、金融機関に報告しなければならず、最悪の場合、審査が振り出しに戻る
転職後に申し込む場合の現実的な待機期間
では、転職後に住宅ローンを申し込む場合、どのくらい待てばよいのでしょうか。
国土交通省の調査によると、金融機関が設けている勤続年数の基準は以下の通りです:
対象:908金融機関(勤続年数を審査対象とする機関のみ)
複数回答可のため合計は100%を超える
出典:国土交通省「令和6年度 民間住宅ローンの実態に関する調査」
この データから、多くの金融機関が「勤続年数1年以上」を基準としていることがわかります。つまり、転職後1年が経過すれば、多くの金融機関で審査対象となる可能性が高いのです。
転職後の待機期間の目安:
- 理想:勤続年数1年以上 → 最も多くの金融機関で審査対象となる
- 最低:勤続年数3ヶ月以上 → 一部の金融機関やフラット35では審査対象となる
- 推奨:勤続年数6ヶ月〜1年 → 審査通過率が高まる
ただし、勤続年数が1年未満でも、以下の条件を満たせば審査に通る可能性があります(次のセクションで詳述)。
年収アップと勤続年数、審査で有利になるのはどちらか
「転職で年収が100万円上がる」という場合、年収アップと勤続年数のリセット、どちらが審査に有利に働くのでしょうか。
結論:年収アップは有利だが、勤続年数の短さがそれを相殺する可能性がある
金融機関は、「現在の収入」よりも「収入の安定性」を重視します。そのため、たとえ年収が100万円上がっても、勤続年数が3ヶ月では「この年収が継続するか不透明」と判断されるのです。
ただし、以下の条件を満たせば、年収アップが審査で有利に働きます:
- 同業種・同職種への転職: キャリアの一貫性があり、「再び転職するリスクが低い」と評価される
- 大手企業や上場企業への転職: 企業の信用力が高く、「安定した雇用」と見なされる
- 見込年収の証明が可能: 雇用契約書や内定通知書で、年収を証明できる
一方、異業種への転職や、ベンチャー企業への転職は、年収が上がっても審査で不利になる可能性があります。次のセクションでは、転職直後でも住宅ローン審査に通る具体的な条件を解説します。
転職直後でも住宅ローン審査に通る3つの条件
勤続年数1年未満でも審査対象となる金融機関の選び方
前述の通り、多くの金融機関が「勤続年数1年以上」を基準としていますが、中には勤続年数の要件を設けていない、あるいは非常に短い期間でも審査対象とする金融機関も存在します。
勤続年数の要件が緩い金融機関の例:
- フラット35: 住宅金融支援機構が提供する住宅ローン。勤続年数の明確な基準はなく、転職直後でも申し込み可能
- ネット銀行の一部: 楽天銀行、auじぶん銀行など、一部のネット銀行は勤続年数3ヶ月以上で審査対象
- 地方銀行や信用金庫: 地域密着型の金融機関は、柔軟に対応してくれるケースがある
金融機関選びのポイント:
- 勤続年数の要件を事前に確認: 金融機関のウェブサイトや、電話で直接確認する
- 複数の金融機関に同時に相談: 1社だけでなく、3〜5社に相談し、最も条件の良い金融機関を選ぶ
- 転職エージェントや住宅ローンアドバイザーに相談: 専門家は、転職直後でも審査に通りやすい金融機関を知っている
同業種・同職種への転職が審査で有利になる理由
転職直後でも審査に通りやすいケースの一つが、同業種・同職種への転職です。
金融機関が懸念するのは「転職後に収入が下がるリスク」「再転職のリスク」です。しかし、同業種・同職種への転職であれば、以下の理由から、これらのリスクが低いと判断されます:
- キャリアの一貫性: 専門性を活かした転職であり、「またすぐ辞める」可能性が低い
- 収入の安定性: 同じ職種であれば、収入が急激に下がる可能性は低い
- 市場価値の高さ: 専門スキルがあり、万が一の場合でも再就職しやすい
審査で有利になる転職の例:
- ITエンジニアが、別のIT企業にエンジニアとして転職
- 営業職が、別の企業で営業職として転職(扱う商材が異なっても、営業スキルは共通)
- 経理・財務職が、別の企業で経理職として転職
逆に、異業種・異職種への転職(例:営業職から事務職、製造業からIT業界など)は、審査で不利になる可能性があります。
フラット35が転職者に選ばれる具体的な根拠
転職直後の住宅ローンで、最もよく利用されるのがフラット35です。その理由を具体的に見ていきましょう。
フラット35が転職者に有利な理由:
- 勤続年数の要件がない: フラット35は、勤続年数を審査基準としていません。転職直後でも申し込み可能
- 全期間固定金利: 金利が変動しないため、将来の収入変動リスクに対応しやすい
- 物件の質を重視: 借入者の属性だけでなく、購入する住宅の質(耐震性、省エネ性能など)も審査で評価される
- 保証人不要: 保証人や保証料が不要で、初期費用を抑えられる
住宅金融支援機構の調査によると、2024年度のフラット35利用者の平均世帯年収は669万円。30代の平均年収と照らし合わせても、フラット35は幅広い層に利用されていることがわかります。
フラット35のデメリット:
- 金利が高め: 変動金利型に比べて、金利が高い(ただし、金利上昇リスクがない)
- 物件の基準が厳しい: 購入する住宅が、フラット35の技術基準を満たす必要がある
- 自己資金の割合で金利が変わる: 頭金が少ない(物件価格の10%未満)と、金利が高くなる
フラット35を検討する場合は、金利と総返済額をシミュレーションし、他の住宅ローンと比較することが重要です。
転職とマイホーム購入を両立させる最適スケジュール
内定承諾から入社までの1ヶ月でできる住宅ローン対策
「転職の内定をもらったが、入社まで1ヶ月しかない。この期間で住宅ローンの準備はできるのか?」──こんな疑問を持つ方も多いでしょう。
結論から言うと、入社前に住宅ローンの事前審査を出すことは可能ですが、リスクが伴います。以下、1ヶ月でできる対策を具体的に解説します。
入社前(内定承諾後)にできること:
- 現職での住宅ローン事前審査: まだ転職していない状態で、現職の勤務先情報で事前審査を申し込む
- メリット:現職の勤続年数が長ければ、審査に通りやすい
- デメリット:融資実行前に転職すると、再審査や融資取り消しのリスクがある
- 転職先の雇用契約書・内定通知書を準備: 転職後の年収を証明する書類を用意しておく
- 転職先の企業情報を調査: 転職先の企業規模、上場の有無、財務状況などを調べ、審査で有利に働く情報をまとめる
- フラット35や、転職者に柔軟な金融機関をリサーチ: 勤続年数の要件が緩い金融機関をリストアップ
- 住宅ローンアドバイザーに相談: 転職と住宅ローンの両立について、専門家の意見を聞く
⚠️ 重要な注意点:
住宅ローンの事前審査から本審査、融資実行までには通常2〜3ヶ月かかります。事前審査を通過しても、融資実行前に転職すると、金融機関に報告義務があり、再審査が必要になります。最悪の場合、融資が取り消されることもあるため、融資実行後に転職するのが最も安全です。
転職後3ヶ月・6ヶ月・1年でそれぞれ変わる審査通過率
転職後、どのタイミングで住宅ローンを申し込むかによって、審査通過率は大きく変わります。
転職後3ヶ月の場合:
- 審査通過率:低〜中
- フラット35や一部のネット銀行では審査対象となるが、通過率は低め
- 試用期間中であることが多く、「正式採用されるか不透明」と判断される
- 年収証明が困難(源泉徴収票がまだない)
転職後6ヶ月の場合:
- 審査通過率:中
- 試用期間を終え、正式採用されているケースが多い
- 給与明細の蓄積があり、見込年収を計算しやすい
- 一部の金融機関では審査対象となるが、まだ「勤続年数1年未満」として慎重に審査される
転職後1年の場合:
- 審査通過率:高
- 多くの金融機関で「勤続年数1年以上」の基準を満たす
- 源泉徴収票が発行され、正確な年収を証明できる
- ボーナスの支給実績があれば、年収の安定性が証明できる
おすすめのタイミング:転職後6ヶ月〜1年
転職後6ヶ月を過ぎれば、試用期間も終わり、給与実績も蓄積されます。このタイミングで事前審査を申し込み、1年経過後に本審査・融資実行というスケジュールが現実的です。
家族を説得できる現実的なロードマップの作り方
転職とマイホーム購入を両立させるには、家族の理解と協力が不可欠です。特に、「子どもが小学校に上がる前にマイホームが欲しい」といった期限がある場合、計画的に進める必要があります。
家族を説得するためのロードマップ作成ステップ:
- 現状の整理: 転職時期、入社日、住宅購入希望時期を明確にする
- 住宅ローン審査のタイムラインを示す: 転職後、いつ頃から審査に申し込めるか、融資実行までの期間を説明
- 金融機関の選択肢を提示: フラット35など、転職者でも審査に通りやすい金融機関をリストアップ
- リスクと対策を説明: 転職直後の審査リスクと、それをカバーする対策(年収アップ、同業種転職など)を明示
- 具体的なスケジュールを提示: 「転職後6ヶ月で事前審査、1年後に本審査・融資実行」など、具体的な日程を示す
- 妥協点を探る: 「物件は先に探し始めるが、契約は転職後1年経ってから」など、柔軟な対応を提案
ロードマップの例(転職後1年で融資実行を目指す場合):
- 転職直後(0〜3ヶ月): 新しい仕事に集中。物件情報の収集は開始
- 転職後3〜6ヶ月: 試用期間終了。給与明細を蓄積。住宅ローンアドバイザーに相談開始
- 転職後6〜9ヶ月: 事前審査を申し込む。物件の内見を本格化
- 転職後9〜12ヶ月: 本審査、契約、融資実行。引っ越し
この ような具体的なロードマップを示すことで、家族も「いつ頃マイホームが手に入るか」が明確になり、安心して待つことができます。
年収アップの転職を住宅ローン審査で最大限活かす方法
見込年収での審査が可能な金融機関の実例
転職で年収が上がる場合、「見込年収」で住宅ローン審査を受けられるかが重要なポイントです。
見込年収とは:
転職直後で源泉徴収票がない場合、現在の月収をもとに1年間の年収を予測した金額のこと。例えば、月収40万円であれば、40万円×12ヶ月=480万円が見込年収となります。
見込年収での審査が可能な金融機関:
- フラット35: 見込年収での審査が可能。直近数ヶ月の給与明細を提出
- 一部のネット銀行: 楽天銀行、auじぶん銀行など、見込年収での審査に対応
- 地方銀行・信用金庫: 個別に対応してくれるケースがある
見込年収での審査のポイント:
- 雇用契約書で年収を証明: 転職先の雇用契約書に記載された年収を提出
- 給与明細を複数月分提出: 3〜6ヶ月分の給与明細を提出し、収入の安定性を示す
- ボーナスの有無を明確に: ボーナスが含まれる場合、その金額と支給条件を説明
源泉徴収票が用意できない場合の代替書類
転職直後は、前職の源泉徴収票はあっても、現職の源泉徴収票はまだありません。この場合、以下の書類で代替できます。
源泉徴収票の代替書類:
- 雇用契約書・労働条件通知書: 転職先の年収が記載されている
- 給与明細(直近3〜6ヶ月分): 月収の実績を示す
- 内定通知書: 年収条件が記載されている場合がある
- 所得証明書(前職分): 市区町村で発行される、前年の所得を証明する書類
金融機関によって求められる書類が異なるため、事前に確認しておくことが重要です。
転職による年収増加を証明する具体的な提出書類
転職で年収が上がったことを審査で有利に働かせるには、年収増加を客観的に証明する必要があります。
年収増加を証明する書類の例:
- 前職の源泉徴収票 + 現職の雇用契約書: 前職と現職の年収を比較し、増加額を明示
- 給与明細の比較: 前職と現職の月収を比較し、増加率を示す
- 転職理由書(任意): 「キャリアアップのための転職であり、年収も〇〇万円増加しました」と説明する書類を自主的に作成
特に、同業種・同職種への転職で年収が上がった場合は、「専門性が評価された」として、審査でプラスに働く可能性が高いです。
住宅ローン事前審査のタイミングで失敗しない戦略
転職内定後、入社前に事前審査を出すリスク
「転職の内定をもらったが、まだ入社していない。この段階で住宅ローンの事前審査を出してもいいのか?」──この判断は非常に難しいところです。
入社前に事前審査を出すメリット:
- 現職の勤続年数が長ければ、審査に通りやすい
- 転職前に審査を済ませておけば、転職後すぐに物件探しに集中できる
入社前に事前審査を出すデメリット・リスク:
- 融資実行前の転職は報告義務がある: 事前審査を通過しても、融資実行前に転職すると、金融機関に報告し、再審査が必要
- 再審査で条件が悪化する可能性: 転職後の勤続年数が短いため、金利が高くなる、借入可能額が減るなどのリスク
- 融資が取り消されるリスク: 金融機関によっては、転職を理由に融資を取り消すケースもある
⚠️ 結論:入社前の事前審査はリスクが高い
入社前に事前審査を出すことは、技術的には可能ですが、融資実行前に転職すると高確率で再審査が必要になります。最悪の場合、融資が取り消されることもあるため、転職後に申し込む方が安全です。
事前審査と本審査の間に転職した場合の対処法
もし、事前審査を通過した後、本審査の前に転職してしまった場合、どう対処すればよいのでしょうか。
対処法:
- 速やかに金融機関に報告: 転職した事実を隠さず、すぐに金融機関に連絡する
- 転職先の情報を提出: 雇用契約書、労働条件通知書、給与明細などを提出
- 再審査を受ける: 転職後の勤務先情報で、改めて審査を受ける
- 審査結果を待つ: 再審査の結果、条件が変わる(金利が上がる、借入可能額が減るなど)可能性がある
再審査でのポイント:
- 転職先が大手企業や上場企業であれば、審査で有利に働く
- 年収が上がっている場合は、その証拠を提示する
- 同業種・同職種への転職であることを強調する
融資実行前の転職が絶対にNGである理由
住宅ローンの審査プロセスは、「事前審査 → 本審査 → 契約 → 融資実行」という流れで進みます。この中で、融資実行前の転職が最もリスクが高いのです。
融資実行前の転職がNGな理由:
- 契約の前提が変わる: 住宅ローン契約は、申込時の勤務先・年収を前提に結ばれる。転職すると、この前提が崩れる
- 金融機関の信用を損なう: 融資実行前に転職すると、「審査をすり抜けようとした」と見なされ、信用を失う
- 融資取り消しのリスク: 金融機関によっては、融資を取り消すケースもある
- 違約金の発生: 契約後に融資が取り消されると、違約金が発生する場合がある
✅ 安全な転職タイミング:融資実行後
住宅ローンの融資が実行され、物件の引き渡しが完了した後であれば、転職しても問題ありません。ただし、転職後は金融機関に報告する義務があります(返済が滞らない限り、特に問題にはなりません)。
転職者が住宅ローン審査で落ちる典型的な3つのパターン
転職回数が多い場合に金融機関が懸念すること
転職そのものが審査でマイナスになるわけではありませんが、転職回数が多い場合は、金融機関から懸念されることがあります。
マイナビの中途採用状況調査によると、採用担当者の77.6%が「転職回数を気にする」と回答しています。住宅ローン審査でも、同様の視点が適用されます。
転職回数が多い場合の懸念点:
- 定着性の低さ: 「またすぐに転職するのでは?」と懸念される
- 収入の不安定性: 転職のたびに収入が変動している場合、「安定した返済ができるか」が疑問視される
- キャリアの一貫性の欠如: 業種や職種がバラバラだと、「専門性がない」と見なされる
対策:
- 転職理由を明確に説明: 各転職に合理的な理由があることを示す(キャリアアップ、スキル習得など)
- 収入の推移を示す: 転職のたびに年収が上がっている場合は、その証拠を提示
- 現職での定着意思を示す: 「今回の転職は、長期的なキャリアを見据えたもの」と説明
異業種転職が審査で不利になる具体的なケース
同業種・同職種への転職は審査で有利に働きますが、異業種転職は逆に不利になる可能性があります。
審査で不利になる異業種転職の例:
- 安定業種から不安定業種へ: 例:公務員 → ベンチャー企業、大手企業 → 中小企業
- 専門職から非専門職へ: 例:エンジニア → 事務職、医師 → 営業職
- 年収が下がる転職: 例:年収600万円 → 年収450万円
なぜ不利になるのか:
- 専門性の喪失: これまで培ったスキルが活かせない転職は、「収入が下がるリスク」「再転職のリスク」が高いと判断される
- 適応期間の長さ: 異業種転職は、新しい業界に適応するまで時間がかかり、その間の収入が不安定
対策:
- 転職理由を明確に: 「ワークライフバランスを重視したい」「新しい分野に挑戦したい」など、前向きな理由を説明
- 年収維持・アップの証拠: 異業種転職でも年収が維持されている、または上がっている場合は、その証拠を提示
- 長期的なキャリアプランを示す: 「今回の転職は、将来的に○○を目指すための布石」と説明
試用期間中の申し込みが審査落ちにつながる理由
転職後、多くの企業では3〜6ヶ月の試用期間が設けられています。この試用期間中に住宅ローンを申し込むと、審査で不利になる可能性があります。
試用期間中の申し込みが不利な理由:
- 正式採用が確定していない: 試用期間中は、企業側が「本採用しない」と判断する可能性がある
- 収入の安定性が不透明: 試用期間中は給与が低い、または賞与が支給されないケースがある
- 健康保険証の資格取得日: 住宅ローン審査では、健康保険証の「資格取得日」で勤続年数を確認する。試用期間中は、この日付が最近のため、「勤続年数が短い」と判断される
対策:
- 試用期間終了後に申し込む: 可能であれば、試用期間が終わり、正式採用が確定してから申し込む
- 雇用契約書で正式採用を証明: 雇用契約書に「試用期間終了後、本採用とする」と明記されている場合は、その証拠を提示
- 転職先の企業規模・信用力を強調: 大手企業や上場企業であれば、「試用期間でも安定している」と判断される可能性がある
妻や家族を納得させる転職・住宅購入の判断基準
「転職を優先すべきケース」と「マイホームを優先すべきケース」の見極め方
転職とマイホーム購入、どちらを優先すべきかは、あなたの状況によって異なります。以下の判断基準を参考に、最適な選択をしてください。
転職を優先すべきケース:
- 現職での不満が大きい: 長時間労働、パワハラ、給与への不満など、現職を続けることが困難
- 年収が大幅にアップする: 転職で年収が100万円以上上がる場合、長期的には住宅ローンの返済にも余裕が生まれる
- キャリアアップのチャンス: 今しかない転職機会であり、逃すと後悔する
- 住宅購入に急ぎがない: 子どもの進学まで3年以上ある、現在の賃貸に不満がないなど
マイホームを優先すべきケース:
- 子どもの進学が迫っている: 「小学校入学までにマイホームが欲しい」など、期限が差し迫っている
- 現職で住宅ローンが組める: 勤続年数が長く、年収も安定しており、審査に通る可能性が高い
- 転職による年収アップが不透明: 転職先の年収が現職と同程度、または下がる可能性がある
- 賃貸の更新時期が近い: 更新料を払うなら、マイホームの頭金に回したい
子どもの年齢と住宅購入タイミングの関係性
子どもがいる家庭では、「子どもが小学校に上がる前にマイホームが欲しい」という希望が多く聞かれます。これは、以下の理由からです:
- 学区の問題: 小学校入学後に引っ越すと、転校が必要になる
- 友人関係の構築: 小学校入学前に引っ越せば、同じ学区の友達と一緒に入学できる
- 生活環境の安定: 小学校入学は子どもにとって大きな環境変化。その前に住環境を安定させたい
子どもの年齢別、住宅購入タイミングの目安:
- 0〜3歳: 余裕を持って住宅購入を検討できる。転職も視野に入れられる
- 4〜5歳: 小学校入学まで1〜2年。転職するなら早めに決断し、転職後1年経ってから住宅購入を目指す
- 6歳以上: すでに小学校に入学している場合、転校を避けるため、現在の学区内で物件を探すか、転職を優先
夫婦で合意形成するための具体的な話し合いの進め方
転職と住宅購入、どちらを優先するかは、夫婦で十分に話し合い、合意形成することが重要です。
話し合いのステップ:
- お互いの優先順位を確認: 夫は「転職したい」、妻は「マイホームが欲しい」という希望を、率直に伝え合う
- 現状を客観的に整理: 現在の年収、貯蓄額、勤続年数、転職先の条件、希望物件の価格などを表にまとめる
- シミュレーションを行う:
- パターンA:転職を優先し、転職後1年経ってから住宅購入
- パターンB:マイホームを優先し、購入後に転職
- それぞれのメリット・デメリット、リスクを洗い出す
- 専門家の意見を聞く: 住宅ローンアドバイザー、ファイナンシャルプランナー、転職エージェントに相談し、客観的な意見を得る
- 妥協点を見つける: 「転職後6ヶ月で物件探しを開始、1年後に契約」など、両方の希望を部分的に叶える折衷案を探る
- 定期的に見直す: 状況が変わったら、柔軟に計画を見直す
話し合いのポイント:
- 感情的にならない: 「なぜ私の希望を優先してくれないのか」ではなく、「どうすれば両方を実現できるか」を考える
- データを示す: 感情論ではなく、具体的な数字やデータをもとに話し合う
- 長期的な視点を持つ: 「今すぐ」ではなく、「3年後、5年後にどうなっていたいか」を考える
実際に転職と住宅ローンを両立させた人の成功事例
転職3ヶ月後に審査通過した36歳会社員のケース
Aさん(36歳男性)のケース:
背景:
- 前職:中堅IT企業でエンジニア(勤続8年、年収550万円)
- 転職先:大手IT企業でエンジニア(年収650万円)
- 家族構成:妻、子ども1人(3歳)
- 住宅購入希望:子どもの小学校入学前にマイホームが欲しい
戦略:
- 同業種・同職種への転職: ITエンジニアとしてのキャリアを継続し、「専門性がある」と評価されやすくした
- 大手企業への転職: 転職先が東証プライム上場企業であり、企業の信用力が高い
- フラット35を選択: 勤続年数の要件がないフラット35で申し込み
- 見込年収で審査: 転職後3ヶ月分の給与明細と雇用契約書を提出し、年収650万円で審査を受けた
- 頭金を多めに用意: 物件価格の20%(600万円)を頭金として用意し、借入額を抑えた
結果:
- 転職後3ヶ月で事前審査を申し込み、通過
- 転職後5ヶ月で本審査を申し込み、通過
- 転職後7ヶ月で融資実行、マイホーム購入に成功
成功のポイント:
- 同業種・同職種への転職で、キャリアの一貫性を示した
- 大手企業への転職で、企業の信用力を活用
- フラット35を選択し、勤続年数の要件をクリア
- 頭金を多めに用意し、借入額を抑えることで審査リスクを低減
年収100万円アップでも審査に苦戦した失敗例から学ぶ教訓
Bさん(34歳男性)のケース:
背景:
- 前職:製造業で営業職(勤続5年、年収480万円)
- 転職先:ベンチャー企業でマーケティング職(年収580万円)
- 家族構成:妻、子ども2人(5歳、2歳)
- 住宅購入希望:上の子の小学校入学前にマイホームが欲しい
失敗のポイント:
- 異業種・異職種への転職: 製造業からIT業界、営業職からマーケティング職への転職は、「キャリアの一貫性がない」と判断された
- ベンチャー企業への転職: 転職先が従業員50人規模のベンチャー企業であり、企業の信用力が低い
- 転職直後に申し込み: 転職後1ヶ月で住宅ローンを申し込み、審査に落ちた
- 複数回の転職歴: 過去10年で3回転職しており、「定着性が低い」と判断された
結果:
- 大手銀行3社、地方銀行2社に申し込むも、すべて審査落ち
- フラット35で再申し込みするも、金利が高く、総返済額が増える
- 結局、転職後1年待ってから再度申し込み、ようやく審査通過
教訓:
- 異業種転職は慎重に: 住宅ローンを組む予定がある場合、異業種転職は審査で不利になることを理解する
- 企業規模も重要: ベンチャー企業への転職は、年収アップでも審査で不利になる可能性がある
- 転職直後の申し込みは避ける: 最低でも3ヶ月、できれば6ヶ月〜1年待ってから申し込む
- 転職回数が多い場合は要注意: 転職回数が多い場合は、より慎重に計画を立てる
転職エージェントと住宅ローンアドバイザーを活用した戦略
Cさん(38歳男性)のケース:
背景:
- 前職:地方銀行で営業職(勤続12年、年収600万円)
- 転職先:外資系金融機関で営業職(年収800万円)
- 家族構成:妻、子ども2人(8歳、5歳)
- 住宅購入希望:下の子の小学校入学前にマイホームが欲しい
戦略:
- 転職エージェントに相談: 転職活動中に、「転職後に住宅ローンを組みたい」と相談し、審査に通りやすい企業を紹介してもらった
- 住宅ローンアドバイザーに相談: 転職決定後すぐに、住宅ローンアドバイザーに相談。転職直後でも審査に通りやすい金融機関を紹介してもらった
- 転職前に事前審査: 前職での勤続年数が12年と長いため、転職前に事前審査を申し込み、通過
- 融資実行を転職後に設定: 事前審査通過後、物件探しを開始。融資実行を転職後3ヶ月に設定し、その間に転職・入社
- 転職後に再審査: 融資実行前に転職したため、金融機関に報告。転職先が大手外資系金融機関であり、年収も200万円アップしたため、再審査もスムーズに通過
結果:
- 転職前に事前審査通過
- 転職後2ヶ月で本審査通過(再審査)
- 転職後3ヶ月で融資実行、マイホーム購入に成功
成功のポイント:
- 転職エージェントと住宅ローンアドバイザー、両方の専門家を活用
- 前職の勤続年数が長く、事前審査に通過しやすかった
- 転職先が大手企業であり、年収も大幅にアップしたため、再審査でも問題なし
- 融資実行のタイミングを戦略的に設定し、転職と住宅購入を両立
よくある質問
転職の内定承諾前に住宅ローンの事前審査は出せますか
A. 技術的には可能ですが、推奨しません。
内定承諾前の段階では、まだ転職が確定していないため、住宅ローンの事前審査を出すこと自体は可能です。ただし、以下のリスクがあるため、推奨できません:
- 内定を辞退する可能性: 事前審査を申し込んだ後に内定を辞退すると、審査が無駄になる
- 勤務先情報の齟齬: 内定承諾前は、まだ正式な雇用契約書がないため、勤務先情報を正確に記載できない
- 金融機関への印象: 「転職が確定していないのに申し込む」という行為は、金融機関に不信感を与える可能性がある
推奨:内定承諾後、雇用契約書を受け取ってから申し込む
住宅ローン審査中に転職が決まったらどうすればいいですか
A. 速やかに金融機関に報告し、指示に従ってください。
住宅ローン審査中(事前審査通過後、本審査中、または本審査通過後)に転職が決まった場合、必ず金融機関に報告してください。報告を怠ると、契約違反となり、融資が取り消される可能性があります。
報告時に必要な情報・書類:
- 転職先の企業名、所在地、業種
- 転職後の年収
- 雇用契約書または労働条件通知書
- 転職の理由(キャリアアップ、年収アップなど、前向きな理由を説明)
金融機関は、転職先の情報をもとに再審査を行います。転職先が大手企業であったり、年収がアップしている場合は、再審査もスムーズに通過する可能性が高いです。
勤続年数を偽って申告したらバレますか
A. 必ずバレます。絶対にやめてください。
住宅ローン審査では、健康保険証の「資格取得日」で勤続年数を確認します。健康保険証には、現在の勤務先で健康保険に加入した日付が記載されており、これが実質的な「入社日」として扱われます。
そのため、申込書に記載した入社年月と、健康保険証の資格取得日が異なる場合、すぐにバレます。
虚偽申告のリスク:
- 審査落ち: 虚偽申告が発覚した時点で、審査は即座に落ちる
- ブラックリスト入り: 金融機関内部のデータベースに記録され、今後その金融機関での借入が困難になる
- 他の金融機関にも影響: 信用情報機関に記録される可能性があり、他の金融機関での審査にも悪影響
- 詐欺罪の可能性: 悪質な場合、詐欺罪に問われる可能性もある
正直に申告し、転職直後でも審査に通りやすい金融機関を選ぶことが、最も確実で安全な方法です。
まとめ|30代転職と住宅ローンは計画次第で両立できる
この記事では、30代の転職と住宅ローン審査の関係、そして両立させるための具体的な戦略を解説してきました。
重要なポイントを振り返りましょう:
- 転職は住宅ローン審査に影響するが、絶対に組めないわけではない
- 93.2%の金融機関が勤続年数を審査項目としているが、勤続年数1年未満でも審査対象となる金融機関も存在する
- 転職前と転職後、どちらで住宅ローンを組むかは状況による
- 転職前:勤続年数が長く審査に有利だが、転職後の収入変動リスクがある
- 転職後:収入が確定しているが、勤続年数が短く審査で不利
- 理想は「融資実行後に転職」だが、現実的には「転職後6ヶ月〜1年待つ」のが安全
- 転職直後でも審査に通る条件がある
- 同業種・同職種への転職
- 大手企業・上場企業への転職
- フラット35など、勤続年数の要件が緩い金融機関を選ぶ
- 年収アップは有利だが、勤続年数の短さを完全にはカバーできない
- 見込年収での審査が可能な金融機関を選ぶ
- 雇用契約書や給与明細で年収を証明する
- 家族と十分に話し合い、現実的なロードマップを作る
- 転職とマイホーム購入、どちらを優先すべきか判断基準を明確にする
- 子どもの年齢、現在の貯蓄額、勤続年数などを考慮し、柔軟に計画を立てる
住宅金融支援機構のデータによると、フラット35利用者の平均年齢は44.5歳。30代でマイホームを購入する人は多く、その中には転職を経験した人も少なくありません。
最後に、最も重要なアドバイス:
転職と住宅ローン、どちらも人生の大きな決断です。「転職もマイホームも諦めたくない」という気持ちは当然ですが、焦りは禁物です。
もしあなたが今、転職の内定をもらい、1週間以内に返事をしなければならない状況にあるなら、まず住宅ローンアドバイザーに相談してください。プロの視点から、あなたの状況に最適なアドバイスをもらえます。
そして、家族とも十分に話し合ってください。転職もマイホーム購入も、家族全員に影響する大きな決断です。家族が納得し、協力してくれる計画を立てることが、成功の鍵です。
この記事が、あなたの転職とマイホーム購入の両立に少しでも役立てば幸いです。応援しています。



